機器検索フローチャート
機器検索フローチャート
研究目的に対して適切な装置が解らない場合は以下のフローチャートを参照ください。
フローチャート最下段の実験目的に則した結果を左側コンテンツリストより選択すると
当該の実験目的に用いられる装置・手法のリストが表示されます。
表面分析・形状観察・表面形態観察
FT-IR(ATR法)
- 赤外光をサンプルに照射すると分子間の結合に伴う振動に対応した吸収が生じる。これを見ることで化学結合・物理的相互作用・官能基情報などが得られる。ATR法ではサンプルをプリズム(ATRクリスタル)に押し当ててサンプルとの界面での全反射を測定することで、試料表面におけるそれらの情報を取得することができる。試料表面数μm程度~の深さ方向におけるもぐりこみ深さはプリズムの種類に依存する。
走査型電子顕微鏡(SEM)
- 数百V~十数kV程度の加速電圧で加速した電子線を試料にぶつけることで発生する二次電子や反射電子によりサンプル表面数μm程度~の深さ情報を含むサンプルの形状やサイズなどを計測することができる。深さ情報は加速電圧に依存する。また、EDSを用いることで当該視野における元素組成情報を知ることも出来る。
化学結合・分子構造解析
核磁気共鳴(NMR)
- 強い磁場の中に試料を置き、核スピンの向きを揃えた分子にパルス状のラジオ波を照射し、核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を検知して、分子構造などを解析する装置です。分子構造の解析や未知物質の同定・定量分析・ダイナミクス解析(反応速度、相互作用)・運動性評価・混合物分離評価などが可能です。
核磁気共鳴原理(引用元:日本分析機器工業会(JAIMA))
電子スピン共鳴(ESR)
- 外部磁場を加えることで不対電子を選択的に観測し(ラジカルや常磁性体)、その磁気モーメントや他の電子スピン、核スピンとの相互作用を通じて構造、反応性、運動性などの情報が得られる。
原理へのURL
X線回折(XRD)
- 試料にX線を照射し、それが電子雲によって散乱・干渉を起こした結果得られる回折像を取得し解析することで単結晶であれば分子の立体構造、粉末やフィルムなどの場合であれば結晶化度や密度などを観測することができる。
分光分析
- 赤外光、紫外光、可視光をサンプルに照射し、その透過光(IR、CD、UV-Vis)や散乱光(ラマン分光)を観測することで化学結合、官能基、旋光度などの各種情報を得られる。
透過型電子顕微鏡・電子線回折像(TEM)
- 80 ~ 200kV程度で加速した電子線をサンプルに照射することでサンプルのサイズ、形状の他、内部構造やコントラストからの平均元素組成を見積もることができる。特に加速電圧が大きくなると空間分解能が高くなるため、サンプル(導電性が高い結晶性の微粒子や薄膜など)によっては結晶格子像の観測をすることができる。
質量分析(MS法、MS/MS or MSn法)
- 質量分析(MS)は化合物に外部エネルギーを与えることで気化イオンとし、そのイオンの質量と電化数の比率(m/z)を取得することができる。また得られたイオンを意図的に破壊すること(MS/MSやMSn法)により、化学結合情報を取得できる。
元素組成分析
元素分析
- サンプルを燃焼管内で酸素とともに完全燃焼させることで生じたCO2、H2O、NOxを還元管にて還元して窒素酸化物はN2とし、CO2、H2O、N2の重量を決定することで試料中のC, H, Nの組成比を決定する。
元素分析について(技術部HP)
SEM-EDS法
- 試料への電子線照射に伴い生じる特性X線をそのエネルギーで分離することで試料中に含まれている元素の定性(B以上)および半定量(Na以上)を行うことができる。またSEM像との組み合わせにより元素組成マップを取得できる。
質量分析(精密質量分析)
- 高精度にてm/zを取得することが可能な質量分析計を用いることで、精密質量分析を行うことができる。精密質量分析を行う事によって、得られた精密質量値と同位体パターンから化合物(飛行イオン)の元素組成を決定できる。
物性分析
核磁気共鳴(NMR)
- 強い磁場の中に試料を置き、核スピンの向きを揃えた分子にパルス状のラジオ波を照射し、核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を検知して、分子構造などを解析する装置です。ダイナミクス解析(反応速度、相互作用)・運動性評価・混合物分離評価などが可能です。
核磁気共鳴原理(引用元:日本分析機器工業会(JAIMA))
熱分析
- 示差走査熱量分析(DSC)では、温度変化に伴う物質の相転位温度(融点、ガラス転位点、結晶化温度等)およびそのエンタルピーを定量的に得ることができる。また熱重量損失分析(TGA)では熱分解に伴う重量損失を見ることで分解点の決定及びどの程度の分解が進んでいるのかを知ることができる。
熱分析の原理と応用 引用元:日本分析機器工業会(JAIMA)
磁気特性測定装置(SQUID)
- 超電導リングに対し外部磁場を与えることで発生する誘導電流(遮蔽電流)により超電導状態が崩れて電気抵抗が生じる。この際の電圧値から各種の磁性に伴う物性(磁化率、磁化曲線、ヒステリシスループ、動的磁化率など)を取得できる。
設備NW SQUID型磁化測定装置の利用方法 - YouTube
バイオカロリメトリー
- 等温滴定型カロリメトリー(ITC)では結合の強さ、結合様式などを調べます(分子間相互作用)。
サンプルにリガンド等を滴定して、その結合イベントで生じる熱変化を観測します。
ITCの原理(マルバーン・パナリティカルHP)
- 示差走査型カロリメトリー(DSC)では分子の安定性などを調べます(安定性)。
温度制御下でサンプルを測定し、変性などで生じる熱変化を観測します。
DSCの原理(マルバーン・パナリティカルHP)
表面プラズモン共鳴(SPR)
- 表面プラズモン共鳴(SPR)では結合の強さ、結合様式などを調べます(分子間相互作用)。
センサーチップ表面にリガンドを結合や吸着し、アナライトをマイクロ流路に流します。センサーチップ表面で生じるプラズモン共鳴を測定することで、センサーに吸着した分子の吸脱着速度、結合解離定数などといった物性情報も得ることができる。
SPRの原理(高分子学会HP)
SPRの原理(医薬品医療機器総合機構HP)
SPRの原理(Cytiva HP) SPR vs ITC
その他(ナノ粒子解析装置)
- Tunable Resistive Pulse Sensor(TRPS)という原理を用い粒子解析を行う。通電させたバッファー中において粒子が細孔を通り抜ける際に生じる電気抵抗およびその遮蔽時間などの情報から粒子サイズや形状のばらつき、また表面電荷の違いなどといった情報を微少量にて定量的に取得することができる。